戦車無用論

 ある掲示板で話題になった議論の私なりのまとめです。

 LOSATBATなどの対戦車兵器の発達で戦車は無用の長物であるという主張でした。
 戦車なんか、対戦車ミサイルを積んだランドクルーザーにアウトレンジで簡単に破壊されてしまうから無用だと言うのです。

 その理屈はこうです。
 衛星偵察で戦車は容易に発見できるから、そこへ数十キロ先からミサイル攻撃すれば、射程が2キロしかない戦車は為す術も無く破壊されるしかない。
 さて、この主張は正しいでしょうか?

 現在の技術レベルでは正しくありません。

 第1に、衛星偵察は万能ではありません。
 雲がかかっていれば精度は格段に落ちます。
 また、戦場上空に常時存在するわけではなく、定期的に通過するだけです。その周期は敵にも容易に分かりますから、偽装をすることもできます。
 それに加えて、衛星偵察はリアルタイムで結果が分かるわけではありません。衛星からの偵察データの解析には時間がかかります。衛星が上空を通過した直後に目標の位置が確認できるわけではありません。ですから戦車のような移動目標に対する射撃データには、当然ながら使用することはできません。
 第2に、ミサイル攻撃で確実に撃破できるとは限らないということです。戦車は陸戦兵器の中で最も防御力、機動力に優れた兵器です。ですから、戦車の破壊は他の兵科のどの兵器よりも困難です。

 以上は、主張者の方も分かっていたと見えて、未来の戦場の話だと言うことでした。
 リアルタイムでの衛星偵察が可能で、百発百中一撃必殺の長距離対戦車ミサイルが実用化された世界でのことだそうです。
 なるほど、それならば戦車無用論の主張は正しいように見えるかもしれません。
 しかし、実際のところ、これは単に自分の主張に都合の良い状況を設定しただけで何も述べていないのです。
 何故なら、対戦車兵器にのみ、このようなSF的な設定を行なっているのに、戦車の方は現状そのままと設定しているからです。戦車の側に都合の良い設定を加えれば、たちまち破綻してしまいます。たとえば、ミサイル攻撃を無効にするような超装甲やミサイル攻撃自体を無効にするような迎撃レーザーシステムとかが実用化されれば、戦車の天下でしょう?

 これは、個々の兵器レベルで対決させて、勝った負けたでその兵器の価値を推し量ることが間違いであることを示しています。それが正しいのであれば、機関銃が発明された時点で歩兵は無用になってしまいます。

 兵器というものは、戦場での役割をそれぞれが担っています。無用な兵器というのはその役割を喪失した兵器のことです。決して他の兵器に破壊されるから無用ということにはなりません。
 戦車を無用と主張するなら、戦車に代わって現在の戦車の役割(機動打撃兵力の中核)を担う兵器を挙げるか、戦車の役割を必要としない画期的な新戦術を提案しなければなりません。
 これを件の掲示板で尋ねても見たのですが、答えを得ることはできませんでした。
#答えがあるわけが無いのですから、仕方がありませんが(笑)。
 

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