「V作戦」デザイナーズノート

 「V作戦」は、モビルスーツ開発カードゲームですが、一年戦争の戦略級ゲームでもあります。

 ただし、戦局が五分から始まることからも分かるとおり、南極条約締結後ぐらいからのスタートです。

 デザイナーの描くストーリーは以下の通りです。

 序盤はモビルスーツの開発がし易いジオンが優勢で、戦場は地上へと移ります。

 量産機が増えて来る中盤になると連邦が数で押すようになり、終盤、ジオンは高性能機で対抗しようとしますが、結局劣勢は覆せない。

 そうなるようにジオンは開発費を安くし、量産に制限を設けたのです。これにより量産に向かない高性能機はジオンで開発されやすく、量産に向いた機体は連邦で開発されやすくしてあるのです。

 地上で連邦が大勝した戦闘は「これがオデッサの戦いだったのだ」とか、戦局レベルがジオンの8、9の時の戦闘は「ジャブロー攻略作戦発動」とか宣言すると楽しさが増すことでしょう。

 このゲームのプレイヤーの立場はモビルスーツメーカーです。アナハイム・エレクトロニクスのような巨大メーカーを目指して新型モビルスーツの開発にしのぎを削るのです。

 プレイヤーの立場はメーカーと言うことで戦闘についての関与は制限してあります。戦闘時に投入する戦力を選べないこととキャラクターが使い捨てなこと、プレイヤーの思惑で勝手に戦闘を起こせないことが主な制限です。

 しかし戦闘中の意志決定はどうしても必要なので、この点での徹底は欠いています。多分にゲーム的な処理ですがコンピュータゲームにでもしない限りは徹底はできませんね。それに徹底したからと言って面白いかどうかも疑問ですし。

 よく言われるのですが、1回の戦闘で得られるVPが非常に多いのは理由があります。

 確かに10VPで勝利なのに、1回の戦闘で最大6VPも得られるのは過大に思えます。しかし、これはゲームをだれさせないための処理です。例えば1回の戦闘で1VPしか得られないとすれば5VPも差がついたら事実上逆転は不可能でしょう。仮に出来たとしても延々とゲームを続けなければなりません。その点このゲームでは大逆転も可能になっています。勿論そのためには強力なモビルスーツ隊を事前に開発する必要がありますが。

 それに最大6VPとは言っても分散する事も多いので3VPぐらいの得点で収まりますし。

 もう一つの効果はプレイタイムの短縮です。通常5回程度の戦闘で勝利条件を満たすことが多いです。偶に引き分けがあるとその数だけ増えますが。通常のプレイタイムは大体1時間半程度です。1回の戦闘での獲得VPを減らすことはそれだけ戦闘回数の増加を招きますから、この点でも妥当なレベルだと考えています。同じ理由で一度獲得したVPはなくなることはないものとしているのです。

 カードのセットが6人分あるのに、プレイ人数を5人までとしたのは、今までのプレイの結果5人までが限界と感じたからです。理由は戦闘が毎ターン発生して開発が損害に追いつかなくなるからです。5人プレイでも量産機が増えて各プレイヤーの手元に残るカードが多くなる終盤には1ターン置きに戦闘が発生し、各プレイヤーは戦闘に追われながらの開発となるのです。そうなると勝っているプレイヤーは兎も角、戦闘でモビルスーツ隊が壊滅しているようなプレイヤーは再建の時間がなく、非常につまらない思いをすることになります。

 このゲームのイベントカードは非常に凶悪です。

 デザインしたばかりのころは更に輪を掛けて凶悪で全く対抗不能でした。余りにも酷かったので今のような形にしたのです。えっ、今でも酷い?確かにそうですが、その酷いカードには何らかの制限が科せられているはずです。以前はそれすらなく、使いたい放題だったのです。それに比べれば随分良くなったとは思いませんか?

 そんな凶悪なイベントカードを何故入れたのかと言えば、劣勢なプレイヤーの救いとするためです。尤も、往々にしてこういったカードは勝っているプレイヤーの手元にいくものなので、効果に疑問があるのですが。それにどれもガンダムらしいイベントでなくすには忍びないものがあったためです。

 こういったキャラクターゲームで必ず出る質問が最強のモビルスーツは何?と言うものです。

 しかしこのゲームでは一概には答えることが出来ません。性能的には恐らくZガンダムが最も高性能であると思いますが、これを開発できるのはゲームも最終盤で、活躍の時間は余り残されていません。

 では、中盤で開発できて最強の火力と極めて強力な防御力を誇るビグザムが最強かと言えば、全くそんなことはありません。どちらかというとビグザムは使えないモビルスーツの方に入るぐらいです。というのもビグザムは機動性が最低で攻撃する前に戦いは終わっているか、攻撃する手番には極めて強力でやっかいな敵しか残っていないという状況が多いからです。

 このゲームでは高価な高性能機は確かに戦闘では強いのですが、勝利への貢献という点から見るとあまり良くありません。その点極めて使いやすいのが量産費の安い機体です。数で押す戦略は非常に有効なのです。ではボールやザクをひたすら量産すれば良いかと言えば、それほど甘いものではありません。量産機は戦闘に於いては戦果が稼げるという理由で集中攻撃を受けることになるのですが、防御力の弱い機体ではその攻撃に耐えることができないからです。

 高性能な機体を量産するのが非常に強力なのですが、それはそれで数をそろえるまでが大変です。

 局地戦用の機体は安価な割に高性能で数が揃うと極めて強力ですが、戦場がシフトした途端に役立たずになると言う問題を抱えています。

 何度かプレイして貰うと分かるのですが、毎回、勝利に貢献したモビルスーツは異なることと思います。あるプレイではニュータイプ専用機が莫大な戦果を挙げたのが勝因だったり、ザクをひたすら量産したのが功を奏して勝利したり、局地戦用の機体を上手く使えたのが勝因だったりするのです。

 結局、戦局と他のプレイヤーの開発しているモビルスーツを見渡しながら、開発すべきモビルスーツを選ぶ必要があるということです。それも手元に来たものの中から。一つアドバイスすると、選り好みして全然開発しないよりはとりあえず何でも良いから両軍に1機ずつは開発しておくことをお勧めします。

 さて、キャラクターカードについてです。

 キャラクターカードの総枚数は他のカードとの兼ね合いもあり18枚とまず決定しました。その中に指揮官とニュータイプと技術者を入れなければなりません。指揮官は両軍の各階級1人ずつと無能指揮官を入れることとして8人使うことを決定しました。ニュータイプキャラクターはニュータイプ専用機に必要なこともありあまり数を減らすこともできないので、残り10枚のうち8枚を割り当て、技術者は両軍に1人ずつとしてあります。そのためにエースパイロットを入れる余裕はなくなってしまいました。

 上記の枚数に収まるようにキャラクターの選択を行いましたが、一番割りを喰ったのがコンスコンです。私はコンスコンが無能な指揮官とは思いません。サイド6での戦いでも彼の指揮に致命的な落ち度はありません。しかし、ジオンで無能な指揮官って誰がいただろうと考えると将軍クラスでは思いつかないのです。それでコンスコンに涙をのんで貰ったというわけです。今思えば、作戦指揮に関して言えばキシリアの方が無能かもしれません。でもキシリアは切れ者で通っていたので無能指揮官にはしづらいですね。

 ニュータイプにはフォウを入れるつもりだったのですが、強化人間のルールをフォウ一人の為に入れるのもためらわれたため割愛しました。

 このゲームの戦闘システムは以前にデザインしたMobile Suits Warsというゲームから流用しました。

 それでゲームが完成してからカードを眺めていてMobile Suits Warsのルールでもプレイ出来ることに気が付きました。イベントカードの読み替えは必要ですが、そのほかのカードはそのまま使用できるのです。

 こうしてこのゲームはこういったタイプのカードゲームには珍しい2in1ゲームになったのです。OPTゲームの方はモビルスーツ版タンクハンターと言えるゲームでノリの軽いゲームになっています。こちらは6人以上の多人数でもプレイできます。ただし、ノリは軽いですが、累積100点までプレイすると、プレイタイムはV作戦本ゲームよりも長くなります。

 
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