世界征服紹介

 「世界征服」は私の作成したカードゲームである。
 3人から6人でプレイでき、各プレイヤーはそれぞれ悪の組織の首領となり、「絵にも描けない悪事の数々」によって自己の組織による世界征服を目指すのである。勿論、世界征服への道は険しい。他の組織の妨害もあれば、悪の組織の宿敵、正義の味方もプレイヤーの野望の前に立ちはだかる。そのような障害を配下のモンスター共によって排除しつつ、ゲームは進んでいくことにある。
 ゲームコンセプトは以上のようなものである。おかしなところはどこにもない。しかし、このゲームの通称は「怪しいカードゲーム」なのである。それは、何故か?などと、秘密めかしても仕方がない。イラストを見れば一目瞭然だろう。そう、このゲームの正義の味方は全て中学生を主力とする少女達なのである。

 何故このような恥ずかしいゲームを作ってしまったのには、些かの経緯がある。
 事の起こりは、私の友人で名古屋で活動中の某ゲームサークルの会長が、「美少女カードゲームを作る!」と言い出したことであった。彼は、そのためのカードを作ってくれと私の前にムック本やらLDボックスやらを積み上げたのである。こうして私はカード製作を頼まれたのだが、肝心のゲームが一向にできてこない。構想すらできていない妄想の段階で止まってしまっていたのである。ところが、既に私は、カード用のイラストの取り込みを進めており、その労力を無駄にしたくはなかった。そこで自分でデザインしてしまったと言うわけである。だからこのゲームの正義の味方は少女である必然性はない。別に宇宙刑事や何とか戦隊でも良かったのである。ただ、イラストを用意できるのが、これだけだったために選択の余地がなかっただけのことである。

 余談が長くなってしまった。ゲーム紹介の方に戻ろう。
 カードの紹介から始めよう。「世界征服」のカードは大きく6種類に分けられる。
 悪の首領、悪事、モンスター、正義の味方、必殺技、イベントである。
 悪の首領カードは6枚あり、ゲーム開始時に各プレイヤーに1枚ずつ配られる。悪の首領の名前、イラスト、戦闘力、耐久力、戦闘時の特殊能力が記されている。悪の首領を倒されてしまうと、プレイヤーは勝利条件を満たすことが出来なくなるので、他のプレイヤーの邪魔をすることしかできなくなる。
 悪事カードは50枚あり、5〜20の悪事ポイントが記されている。悪事カードを首領の前に並べていき、悪事ポイントが100ポイントを越えると世界は征服されたことになる。
 モンスターカードは40枚あり、モンスターの名前、イラスト、戦闘力、耐久力が記されている。
 正義の味方カードは20枚あり、氏名、イラスト、戦闘力、耐久力、そしてそのキャラクター固有の必殺技の数が記されている。ちなみに正義の味方のリストを挙げると、セーラー戦士10名、ウェディングピーチから4名、マジックナイト3名、マジカルプリンセス、ナースエンジェル、バーディである。
 必殺技カードは24枚あり、必殺技の名称、イラスト、その必殺技を使用できる正義の味方の氏名、威力、特殊能力が記されている。1枚のカードには、2つの必殺技が記載されている。これは枚数節約とカードの使用頻度を上げるための処理である。
 イベントカードは17枚あり、イベント名称、コピー、効果が記されている。このゲームでは全てのイベントカードは引いた時点で効果を表し、影響を受けるプレイヤーは引いたプレイヤーが決める。そのため、突出したプレイヤーに不幸なイベントが集中し、ゲームバランスを良好なものとしている。ただし、イベントの効果自体はかなり控えめにしてある。

 ゲームの手順は、時計回りに手番が移っていき、手番プレイヤーは、まずアクションを行い、正義の味方等の敵が付けられていた場合には戦闘を解決し、可能ならばカードの補充を行うというものである。特徴としては、アクションの回数に制限がないことと、カードの補充は手札が4枚以下にならないとできないこと、補充枚数がプレイヤーの組織の大小によって異なることである。これらによる効果は、カードの回転を早めており、ゲーム展開を派手で過激なものとしている。

 「世界征服」のゲーム展開で気に入っているのが、特に特別ルールで規定しているわけでもないのに、プレイヤーの行動がテレビでお馴染みの悪の組織のお約束を再現していることである。
 例えば、正義の味方をねちねちと痛ぶった末に逆転されて倒される間抜けなモンスターはこのゲームでは珍しくもない。戦闘システムが一度に大ダメージを与えることが難しく、また正義の味方はダメージを受けるほど強くなるため、そのようなことになることが多いのである。
 貴方は、正義の味方に阻止されると分かっているのに、悪の組織がしょうもない作戦を繰り返すのをなんと間抜けなんだろうと思ったことはないだろうか?ところがそう思っているプレイヤーがその間抜けをゲーム中に繰り返すのである。どういうことかと言うと、手番中に付けられている正義の味方を排除できない場合、今までに並べた悪事カードを1枚捨て札にしなければならない。そして、悪事カードが無くなるとその悪の組織は崩壊してしまう。正義の味方がいたとしてもアクションとして悪事カードを出すことはできるため、とりあえず手札から悪事カードを出し続けている限りはその悪の組織は現状を維持できるのである。こうして組織を守るためにプレイヤーはせっせっと捨て札にするための悪事カードを出し続けるのである。

 最後にこのゲームのプレイバランスについて述べよう。プレイヤー間のプレイバランスは非常の良好である。誰も世界を征服できないと言う意味で。このゲームで世界征服に成功したのは数えるほどしかない。どのプレイでも80以上の悪事ポイントをためて、世界征服まで後一歩という組織はいくつも出るのだが。
 
 

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